株式会社と合同会社の違い
会社には、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社と4種類ありますが、ここでは株式会社と合同会社について説明いたします。
株式会社
株式会社について
株式会社は、株主(出資者)によって構成される会社形態で、株主が会社のオーナーとなります。
社長(経営者)が会社のオーナーという印象がありますが、必ずしも 経営者 = オーナー とは限りません。ベンチャー企業のように経営者のアイディアに投資家が出資するような形もあります。
皆さんが起業する際は、発起人となり、設立時に発行する株式を引き受けることになります。
出資を受けて起業する方はあまり多くはないと思いますので、基本的には経営者=オーナーとなります。
中小企業は、会社の経営者 = オーナー となっているのがほとんどです。
株主の責任
株主の責任は、出資した範囲内での有限責任となります。
わかりやすく言うと、会社が1億円の赤字で倒産しても100万円の出資しかしていなかったら、100万円は無くなりますが、それ以上の責任は取らなくてもいいということです。
会社の借金の保証人になっている場合などは別ですが、基本的に会社の借金の責任を負うことはありません。
利益の配分
会社で出た利益は、配当といった形で株主に分配することが出来ます。利益の分配の割合は出資割合に応じて行うこととされており、自由に定めることができません。
株主が2人居て、70%、30%の割合で出資していた場合は、配当も70%、30%の割合になります。
ただし、純資産額(簡単に言うと利益)が300万円未満の場合には、配当を行うことはできません。また、それだけ利益が出るということは、その分税金も高くなるということですので、役員報酬の形で経費として支出するように考えた方が、節税の面では有効です。
設立手数料
定款認証手数料 | 50,000円 |
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定款に貼る収入印紙 | 40,000円(電子定款 0円) |
その他(謄本代・印鑑代等) | 20,000円程度 |
登録免許税 | 150,000円(※最低額) |
合計 | 260,000円(電子定款 220,000円) |
※登録免許税は資本金額の1,000分の7ですが、15万円に満たないときは15万円になります。
合同会社
合同会社について
合同会社は、社員(株式会社でいう株主)によって構成される会社形態で、社員が会社のオーナーとなります。
ここでいう社員は、会社の従業員とは違い、株式会社でいうところの株主にあたります。
株式会社でいう社長(代表取締役)も、代表社員といった名称になります。
株式会社より設立の手続きが簡単で、費用も安く済むため、比較的小規模な会社に向いていると言えます。事業が軌道に乗ってきてから、株式会社に組織変更することも出来ます。
社員の責任
株式会社と同じく、社員の責任は出資した範囲内での有限責任となります。
利益の配分
株式会社と同じく、会社で出た利益は、配当といった形で株主に分配することが出来ます。
利益の分配の割合は株式会社と違い、自由に決めることが出来ます。
社員が2人居て、70%、30%の割合で出資していた場合でも、配当は90%、10%のように変更することが出来ます。
設立手数料
定款認証手数料 | なし |
---|---|
定款に貼る収入印紙 | 40,000円(電子定款 0円) |
その他(謄本代・印鑑代等) | 20,000円程度 |
登録免許税 | 60,000円 |
合計 | 120,000円(電子定款 80,000円) |
株式会社と合同会社の比較
株式会社と合同会社、それぞれのメリット・デメリット
株式会社・合同会社設立に関するメリット・デメリットを比較し、まとめました。
起業の際の参考にご覧ください。
- 周知度
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一般的に会社と言えば株式会社というくらい、株式会社という名称は周知されています。
一方、合同会社と言われてもピンと来ない人がほとんどかと思います。
最近では大手企業にも合同会社はありますが、認知されていないのがほとんどでしょう。(iPhoneなどで有名なアップルジャパンは合同会社です。) - 消費税免税
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どちらの会社の場合でも、資本金が1,000万円未満であれば、設立初年度の消費税の納付は免除されます。
また、前年の上半期の売上高が1,000万円を超えない場合、または給与等支払額の合計額が1,000万円以下の場合には、2年目も消費税の納付が免除されることになります。
設立1年目が7カ月以下の事業年度だった場合にも、2年目が免除されます。 - 役員任期
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株式会社の場合、役員の任期を定款(会社のルール)で定める必要があります。
任期は通常で2年、最長で10年となっており、前任者が引き続き再任されたとしても再任の登記が必要となり、登記費用が掛かることになります。合同会社の場合、社員の任期はありませんので、登記手続き等も必要ありません。
- 決算公告
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株式会社の場合、毎事業年度ごとに決算を行い、それを公告する義務があります。
公告とは広く世間一般に知らせることで、官報に掲載、新聞紙に掲載、ホームページなどによる電子公告の3種類があります。
それぞれに費用が掛かります。合同会社の場合、決算公告の義務がありません。その他の法定公告の義務はありますのでお間違いなく。(法定公告の説明については省きます。)
- 設立費用
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株式会社の設立手数料は最低でも20万円程度かかります。
合同会社の設立手数料は最低で6万円程度となります。